労務管理Q&A

当社の営業社員が退職し、県内の同業他社に再就職しました。退職の際、当社の顧客名簿等をコピーしていたらしく、当社の顧客が同業他社へ取引を変更し始めて大きな損害が出ています。今後、退職した後しばらくは同業他社への就職を禁止したいのですが可能でしょうか。

ご質問の「退職した社員に競合する会社に就職させないよう義務付けること=競業避止」を、労働契約の特約事項とすることは可能です。
反面、憲法により、国民は職業選択の自由を保障されている訳ですから、どのような場合にも認められるということではありません。
まず、「競業避止」について就業規則に記載されており、労働者もそのことについて真に合意していることが前提となります。
また、就業規則への記載内容としては、「企業として流失させることができない企業固有の秘密情報・ノウハウ・利益を限定・明確化する」「対象となる労働者の地位・職務内容を限定する」「競業が禁止される期間・場所を限定する」等の事項を含むことが重要であり、加えて「代替措置(在職中の処遇や秘密保持手当,退職金の加算等)」を考慮することが、特約の有効性を高めうることに十分留意してください。